福島県会津若松市にある会津藩校日新館の屋根装飾です。

携わった当時の原型が、当社に展示されています。

鬼犾頭(きぎんとう)
体は魚で頭は龍の霊獣で一種の鯱(しゃちほこ)です。竜の頭から水を噴出している形をしており、
火災除けの意味が込められています。

鬼龍子(きりゅうし)
形が猫に似ていて、すう虞(ぐ)を象ったものといわれています。
すう虞とは、虎に似た霊獣で聖人の徳に感じて現れる一種の義獣といわれ、
生物を食せず至信の徳があるとされています。
狛犬に似た姿で、顔は猫科の動物に似て、牙を剥き、腹には蛇や龍のような鱗があります。
孔子のような聖人の徳に感じて現れるという想像上の霊獣です。

日新館は会津若松城の西隣に設けられた会津藩の学校で、1803(享和3)年に開校。
「ならぬことはなりませぬ」など、会津藩士風と儒学を教え、
数ある諸藩の藩校の中でも最大規模といわれています。
新島八重の実兄・山本覚馬や白虎隊の少年達をはじめ、多くの優秀な人材を輩出。
惜しくも戊辰戦争で焼失しましたが、1987(昭和62)年に会津若松市郊外の河東町に
完全復元されました。
その復元工事に携わらせていただいた当時の写真です。

 

 

豊田彫刻工房の坂入あずみです。
工房では、今までに携わった現場の彫刻図面が保管されています。
社寺彫刻は、植物や動物など自然をモチーフとしたものが多くみられます。
なので、ちょっとした曲線の丸みの違いで図柄がさらに生き生きとすることがあり、繊細な感性が求められます。
図面は私たちが仕事を進めるに当たり、基となる大切なものです。これには二つのケースがあります。一つは、社寺建築の設計士さんが描く場合。もう一つは、建物やお客様の意向に合わせて当社で作図する場合。私にとっては、いろんな図面を見比べると表現の仕方がいろいろあって勉強になります。
そして、私達は線を大切にして平面から立体にしていくことを心がけ、その図柄をさらに生かせるように彫刻しています。
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